焼酎の基礎知識

焼酎に限らず、いろんな酒には特徴があります。各々の特徴を理解した上で味わうとまた違った新しい発見があることでしょう。ここでは焼酎の原料別での味の違いを見ていきます。


甘藷焼酎(鹿児島)

芋焼酎に使うさつま芋は焼きいも用のように皮が赤くて細長いのではなく、皮が白か淡黄色で、太くてでんぷん含有量が多いタイプを、蒸し芋にして使います。

芋焼酎は他の穀物焼酎とは全く異なった特有の風味、すなわち蒸し焼きにしたさつま芋の芳香があり、原料の特性がそのまま製品の風味特性になっています。

芋焼酎の風味はソフトで甘みがあり、水またはお湯をどのような比率で混ぜても風味のバランスが崩れない(割くずれしない)特徴があります。

主にお湯割りで飲むことが多いのですが、水割りやオンザロックでも飲まれています。

原料100%の芋焼酎は余りありません。

焼酎をつくるためには、麹を発酵させなければなりません。

いまのところ、蒸した米に麹菌を付着させ、増殖させていますが、これを芋で代用しようとすると、芋の性質上、かたまろうとするので、こうじをうまく増やすことが困難です。

よって、通常は芋焼酎の5分の1は米が使われます。
(麦では米と同様に麹が増やせるので、100%麦はよくみかけます)

しかし、最近の製造技術の進歩により100%芋の焼酎も開発されました。
それが美味しいとか良いとかの評価は別ですが、比較されるのも焼酎の楽しみかもしれません。
新しいことに挑戦する事は良い事ですね。

話を元に戻しますと、この原料の米ですが、焼酎メーカーによっては経費削減のため、外国米や食用にならないなどの質の悪い米を使うところもあります。

焼酎「鴨田楽」は、鴨を田んぼに入れて雑草や虫などを食べさせる事で無農薬栽培された貴重な合鴨米を使用しています。
コストは普通の3倍程度かかってしまい、限定生産しかしていません。

近年非常に人気が出ていますが、この良質の米麹と原料の芋との絶妙なハーモニーがその評価を受けているからでしょうか。


麦焼酎

麦焼酎の風味は麦特有の香りがあり、まろやかで甘みがあるのが特徴です。
飲み方の幅が広く、どのような飲み方でも可能になっています。

米を使わない、ムギの軽い風味が生きた焼酎で「口当たりがやわらかく旨い」と評判がよく、オンザロックがよく合います。

ちなみに有名な大分の麦焼酎は100%麦ですが、麦焼酎の本家壱岐焼酎は米麹を使用しています。
どちらが好みですか?


そば焼酎

そば焼酎の風味は、そば特有の香りと軽快な味があり、若者に好まれるタイプです。飲み方は冷や用がよく、軽快な風味を生かして酎ハイにしても飲みやすくなります。


米焼酎

本来の製法による米焼酎の風味は、農醇でまるみとうまみが特徴です。
最近のソフト化志向にあわせて軽快になってきてます。

日本酒の副産物を原材料とする米焼酎(酒粕焼酎)は、香りが華やかで味が淡麗ですっきりしてます。

本場、球磨地方の正式な飲み方は直燗といい水で割らずにストレートで燗して飲みますが、オンザロックや水割りで飲むことも多くなっています。

酎ハイにしてもいいのですが、本来の製法の米焼酎にはストレートかお湯割りで飲んだ方が豊醇さが生かされます。


黒糖焼酎(奄美地方)

奄美諸島に限られて造られる和製のラム酒(糖蜜を原料とした蒸留酒)。
但し本家のラム酒と違い、麹に米が使用されています。

ほのかに黒糖の香りがあり、焼酎の中ではもっとも洋酒に近い風味になっています。

蒸留酒は一般に中性といわれるが、原料の黒糖はアルカリ性、珊瑚礁からでる奄美の水もアルカリ性なので、黒糖焼酎は弱アルカリ性です。

酒の肴は小魚、海草、高蛋白の豚料理ということで、奄美の人間が長寿の理由とされています。

知人の奄美の人は、水割り用の氷とお湯割り用のお湯を用意し、グラスの中に氷をいっぱいに入れ、焼酎を半分程度注いで、そこにコップ一杯までお湯を注ぐという作り方をしています。